暑さが日増しに上昇していくと共に、朝起きた時の肌の状態が気になるようになった。顔面がリフレクターさながらにテカっている。鼻の頭や頬の毛穴も開いていて、目を凝らさずとも凸凹を確認することができる。元々顔がテカりやすいという自覚はあったが、それでも朝から皮脂が溢れているというのは普通の状態とは言えないのではないか。そんな日が何日か続いて、今年の夏は徹底的に肌質改善に努めると決めた。肌は「人体最大の臓器」とも呼ばれる。結果的に体質改善にも繋がるはずだ。
そうと決まればグーグル先生に相談だ。まずは何となく使っていたスキンケア用品を自分の肌質に合うものを選ぶためじっくり検索した。毛穴の開きにはセラミドという成分が有効という答えに着地し、セラミド配合の製品と、同じく毛穴開きに有効なレチノールの美容クリームを購入。肌に摩擦は大敵ということで、週に一度やっていた顔面のスクラブを止め、代わりにクレイパックと酵素洗顔を導入した。
もちろん内側からの改善も欠かせない。水を1日2リットル飲む、バランスの取れた食事、脂質糖質を極力避ける、質の良い睡眠、ストレスを溜めない、紫外線対策、適度な運動、肌の摩擦を避ける、肌に優しい化粧品を選ぶ…全て基本的なことではあるが、自分でもよくこれだけのことを遵守していると感心する。それと同時に少しのバカバカしさを覚えないでもない。
そうして1ヶ月ほど経った今、理想には届かないものの肌の状態は大幅に改善された。複合的な要因があるとは思うが、これだけ多くのことを意識した上で最も効果を感じたのは睡眠の質の改善だった。実は睡眠の改善は割と最近着手した項目だった。正直私は睡眠というものを完全に舐めていた。普段から6〜7時間の睡眠時間を必ず確保していたが、単にそれだけでは十分ではないと今なら分かる。よくよく振り返ると寝付くまでに時間がかかったり、夜中に何度も寝苦しさで目が覚めてしまったりすることがあった。夏は日が昇るのも早いので、朝も早めに目が覚める。熟睡こそ出来てないけど生活に大きな支障は出てないから良いか…と無視していたら肌に支障が出ていたのだ。「夏に寝苦しいのは当たり前、そういうものだ」と思考停止して、改善できる領域があることに気づけていなかった。
睡眠の質を改善する、と言っても様々な手段がある。夜はしっかり湯船に浸かり、寝る30分前にスクリーンを見ない…これらを実践してもやはり夜中に目が覚めてしまい、音を上げそうになっていた。そんな時にどこかで見かけた「寝る時は頭を冷やせ」という文字列をふと思い出した。そこで常備していた冷えピタを思いつきで額に貼って寝てみたところ、朝まで一度も起きることなく、久しぶりに熟睡というものを味わった。それだけでも感動していたのに、朝に鏡を見たらあれだけしつこかったテカリがほとんどなくなり、マットな質感になっていた。今まで睡眠の質をおざなりにしていたことを心底後悔した。毎日冷えピタを貼るわけにはいかないけれど、体をしっかりとクールダウンさせてからベッドに入るようにしたところ、深く眠れるようになった。体が冷えていくと眠気が増すのが分かる。身体は良く出来ている。
結果的にこの1ヶ月でかなり肌質が改善されたが、本当に何をしたら良いか分からない場合は皮膚科を頼るというのもひとつの方法らしい。私はニキビではない正体不明のできものが顔にいくつかあるのだが、それも保険適用内で消してもらえそうなので、近々皮膚科を受診することにした。そんなことが可能だということも、今回の件で調べ物をしている中で初めて知ったことだ。YouTube上でもスキンケアについて発信している人を見つけるのに苦労しないし、どれも無料で視聴できる。時代の恩恵を受けて綺麗になった私の肌を友人知人に見せつけたいが、ご時世柄常にマスクをしているし、会食に誘うのも憚られる。しばらくは鏡の中の自分にだけ感想を求める日が続きそうだ。
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