長いこと日記の更新を怠ってしまったが、その間予期せぬ怪我に見舞われ、それに翻弄される日々を送っていた。正確にいうと、まだ回復途中である。そんな日々を送るなかで、ドイツのまた新たな一面が見えてきた気がして、ここに書き記しておきたいと思う。

全治数ヶ月の怪我というと、交通事故だったり、スポーツする中でのアクシデントだったり、何かしらの大きな衝撃があって起こるものと思っていたが、それは地味に発生した。

年末から腰の痛みは少しずつ感じていたのだが、仕事も忙しかったので放置してしまっていた。2月に入り、仕事のペースが落ち着いてきて、ようやくマッサージに行ったりストレッチをしたりと、身体をメンテナンスする余裕が出てきた。そして、ある朝ストレッチをしていて、腰をひねる動作をした瞬間、腰で何かが起こったのが分かった。痛みが走ったわけではないのだが、これ以上身体を動かさない方がいいとすぐに分かるような衝撃だった。その後、全く身動きが取れないほどではなかったが、段々と出てくるズキズキした痛みで夜はまともに眠ることが出来ず、起床時はとくに痛みがひどく、壁に伝いながらでないと歩けないほどだった。

数日間お休みだったので鎮痛剤を飲んで安静に過ごしたが、あまり回復が見られないので、以前からお世話になっている近くの街の日本人の整体師さんに施術をお願いすることにした。久しぶりに外に出てみると、歩くのはもちろんのこと、電車に乗って座ったり立ったり、普段は何の気なしにできている一つ一つのことをこなすのが、まるで苦行のようだった。なんとか辿り着いて施術をしてもらうと「左右の筋肉のつき方がかなりアンバランスになってしまっていて、関節の可動域もかなり狭まっていますね」と言われた。もともと長年の楽器演奏で筋肉のつき方にかなり偏りがあるのだが、ここしばらく痛みを避けるように動いていたせいで、さらに歪みが大きく出ていたようだ。実際、鏡で見てもはっきり分かるくらい身体が傾いていた。

施術を受けたあと、身体がそれまでより大分動くようになってきて、そろそろ仕事に戻れるかもしれないなどと呑気に考えたりしていたが、時折ヒヤッとするような痛みが腰に走る。この時点まではいわゆるギックリ腰だと思っていたが、もしかしたら違うのかもしれないと思い始めた。友人の「たとえ良くなってきたとしても、検査しておいた方が良いと思う」という言葉もあり、念のため整形外科に行ってみることにした。

ドイツの病院や診療所は大体が予約制なのだが、その予約を取るのにいつも大変苦労する。予約の際、新規の患者かそうでないか、公的な健康保険に入っているのか、プライベートの保険に入っているのかを訊ねられるのだが、新患で公的保険加入者だった場合、かなり待たされることが多い(もちろん緊急の場合は、大きな病院の救急外来に行けば良いのだが)。今回、腰痛が起こって真っ先に整形外科に行かなかったのには、こんな事情もあった。
整形外科にはまだかかったことがなかったので、行けそうな範囲の整形外科に全て電話をかけてみたが「新規の患者さんは受け付けてません」とか「次に予約可能なのは2ヶ月後です」と言われたりで、途中で諦めそうになった。しかし、そのなかで一軒予約制でない診療所が見つかり、早速翌朝に訪ねることにしたのだった。

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