先日アメリカのデスバレーで開催された“The Coachella Valley Music and Arts Festival”のライブストリームを流し見しながらふと思った。“Coachella”とはどういう意味なのか? 地名だということは分かっているけど、言葉の響きが独特で意味を連想出来ない。例えば、ニューヨーク(New York)やワシントン(Washington)という地名はイギリスを強く連想させる。実際にイギリスからの移民が多く渡ってきた土地だったこともあり、アメリカの東海岸にはイギリスの地名を連想させる地名が多く存在する。逆に、西海岸の地名を見てみると、ロサンジェルス(Los Angeles)やサンフランシスコ(San Francisco)などスペイン語を連想させる地名が確認出来る。こちらはスペイン統治下だったメキシコからの移民が多いことが影響しているらしい。コーチェラは同じく西海岸側の地名だが、スペイン語が関係しているのだろうか? それとも、アメリカの先住民の言語が影響しているのだろうか? 実際に先住民族の言語が由来となった地名は多く、コネチカットやオクラホマ、ユタなどが挙げられる。
コーチェラの由来を調べていた中で以下の記事を見つけた。
内容を簡潔にまとめると、大体以下のようなことが書いてあった。
「後にコーチェラの名付け親となるジェイソン L.レクター氏(Jason L. Rector)は、その土地にある湖の近くに小さなカタツムリの殻があるのを見つけたため、スペイン語で“小さな貝殻(の土地)”を意味するコンチラという地名を提案。その地名を報告するための書類を印刷所に送ったが、印刷業者はコンチラ(Conchilla)のスペルをコーチェラ(Coachella)と誤解。しかし、レクター氏はタイプミスであるコーチェラという名前をそのまま使用することにした。コーチェラは1946年に正式に街となった。」

つまり、「コーチェラ」という言葉自体に意味はないが、名付け親のレクター氏はスペイン語から地名を付けようとしていたらしい。それにしても、タイプミスをそのまま街の名前にしてしまったというのは想像できなかった。もしかしたらそういった勘違いや間違いがそのまま地名になったという例は他にもあるのかもしれない。こんな風に、土地の名前の由来には思いがけない歴史が刻まれていることがあるので調べ甲斐があるし、とても興味をそそられる。
自分が今住んでいる東京の地名もユニークなものが多く調べるのが楽しいが、私がひときわ興味深いと思うのはアイヌ民族の言語が由来となった土地名が多い北海道や、ハワイ語が由来となっているハワイの地名だ。漢字やアルファベットに置き換えて表記されていても、その元々の意味を推測することが難しい地名は私の知的好奇心をくすぐる。地名はその土地にいた人々や出来事について教えようとしてくれる。世界中に把握しきれないほどの数の土地の名前があり、私はそれらひとつひとつの由来をこれからいくらでも知ろうと出来るということが嬉しい。
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