今年のゴールデンウィークの連休と有給休暇を併用し、パートナーの母国であるスウェーデンに渡航して11日間滞在した。
パートナーはパンデミックが始まってから一度も帰国出来ていなかったが、今年の4月にスウェーデンの入国制限が解除になったために急遽渡航を決め、私もそれについて行く形にしたのだ。ロシアのウクライナ侵攻により北欧諸国にも影響がある中、先行きが分からないこともありゴールデンウィークはベストタイミングだった。急いで飛行機のチケットを予約。そこから必要な書類を手配し、諸々の手続きを進め、あっという間に出発当日に。滞在期間も一瞬で過ぎ、帰国してから気づけば一ヶ月以上経ってしまった。
今回は初めてだらけの旅だった。パンデミック以降初めての海外旅行で、北欧には初上陸だったし、11日間も海外に滞在すること自体も初めて。パートナーの家族や友人とももちろん初対面だった。印象的な出来事だらけの旅で、とても全ては書ききれない。今回は滞在中に訪ねたあるカップルとのエピソードについて綴っていく。
私のパートナーは以前スウェーデンの大学で日本語を勉強していて、その学生時代に出会ったのが今回訪ねたスウェーデン人と日本人のカップルだった。その後3人とも語学関係で日本に渡航することになったため、日本でも交流を続けていたという。カップルの2人は今年に入ってからスウェーデンに移住し、4月に出産したばかりだったが、私たちがスウェーデンに来ていることが分かると快く招いてくれた。私たちも北欧周辺への移住を検討していることもあり、移住にまつわる話を聞いてみたかった。
滞在先から車で1時間ほど行ったのどかな街で2人は暮らしていた。仮名としてカップルの日本人の名前をマミさん、スウェーデン人の名前をイーサンさんとする。会うや否や、マミさんは私の名前を褒めてくれた。「なつこってことは夏に生まれたの?良い名前だね〜」と気さくに迎えてくれ、日本を発ってからはほぼ英語だけでコミュニケーションをとっていた私は、日本語に飢えていたと痛感した。
生まれたてほやほやの赤ちゃんが寝ている間に4人で色んな話をした。子育てをするなら社会保障の手厚いスウェーデンが良いと移住を決めた2人。マミさんは移住してしばらくは移民向けのスウェーデン語学校に通う必要があるため、働き始める前に出産して語学学習と並行して子育てすることを決めたことや、結婚ビザを取得するための条件などについて話してくれた。驚いたのはスウェーデンでは子供を産んだらすぐに退院させられてしまうそうで、出産後すぐ仕事に復帰する人も少なくないということ。しかし、それは両親がどちらも育休を取ることができるということの裏返しでもあり、子育てを巡る社会の在り方を強く打ち出している。2人がタフ過ぎてとても真似できる気がしなかったが、話を聞いていると何とかなるような気持ちにさせられるくらい2人は朗らかだった。イーサンさんの個人的な意見としては、日本にまた住みたいと思っているらしかった。電車は遅れず宅配サービスも便利、24時間開いてるコンビニや治安に良さに慣れてしまったらしい。マミさんは「スウェーデン人は本当に働かない!」と呆れていたが、そんな国民性を面白がってもいた。両方の国に住んだ経験がある2人の意見にはとても説得力があった。
しばらく談笑した後は周囲を軽く散策した。途中通りかかった保育園では子供たちがやんちゃに遊び回っていて、マミさんは「ここに預けるのは怖いよ〜」と笑っていた。近所の軽食屋台の外の席で昼食を食べている最中、赤ちゃんは寝たり起きたりを繰り返していて、私もパートナーもそんなに小さな赤ちゃんに接する機会があまりないため少し圧倒されていた。
昼食後はあっという間にお別れの時間になった。マミさんは今回の旅で会った唯一の日本人だったが、マミさんもスウェーデンに移住して以来日本人に会うのは久しぶりだったらしい。もっともっと話したいことがあったけど、また会えることを期待してその日は別れた。今回の旅の中でも印象的な時間のひとつになった。