先日、運転免許を取得した。ここまで長い道のりであった。遡れば、ドイツで田舎生活を送るなかで、もっと自由に動き回れたらと思って教習所の門を叩いたのが三年前のこと。その後、コロナ騒ぎと急に決めた帰国などもあって、ドイツでは最終的に免許を取得できぬまま終わり、日本でまた一からやり直すことになった。まさに二度手間ではあったが、こんなところでも両国の違いが感じられて興味深かったのでここに記しておきたいと思う。
日本の教習所で初めて学科の授業を受けた時、授業がとても厳格なのに驚いた。遅刻、居眠り厳禁で、授業もその日の項目の初めから終わりまで余す事なくきっちり進められていく。一方、ドイツで受けた学科の授業はというと、担当の教官次第で多種多様であった。テキストもないので、ある時は話が大いに脱線したり、またある時は一つのトピックに留まり続けて要領を得ないまま授業が終わったりすることも多かった。しかし、どの授業にも共通していたのが、教官と教習生間での質疑応答をはじめとするやり取りで授業が進んでいくことであった。時には何人かでグループを組んで発表しなくてはいけない事もあり、和やかではあったが、外国人の私などは居眠りする余裕などない授業ではあった。
学科の授業のあと待ち受けている試験だが、これもまたそれぞれ違った難しさがあった。ドイツの学科試験は、一度落ちると二週間待たないと受け直せないという規則があり、時間の制約がある場合は結構プレッシャーになる。問題自体は、丸暗記すれば対応できるレベルであったが、答えが三択で、必ずしも正解が一つではない問題もあるのが紛らわしかった。ちなみに、さすがにまだアジア圏の言語は取り入れられていないが、英語からトルコ語まで十三の言語で受験が可能になっており、さすが移民国家である。対して日本の試験で私が苦労したのは、いわゆる引っかけ問題である。長い海外生活のせいなのか、それとも単なる読解力の足りなさなのか、初めは微妙な言葉のニュアンスの違いにことごとく気づけず、自分でも唖然とした。だんだんと慣れてきたが、ドイツ語でこれだったら大変だったと思う(言語の特性的にそういう曖昧さはないかもしれないが)。
次回は実技編を書こうと思う。